読書感想文のホームページ
あなたは 人目のお客様です!!
最終更新日 1/1/08

いつも本はこのサイトで買ってます…

最近はミステリーを主に読んでいます。
相変わらず、タイトルだけの完全密室ホームページになってます。
久しぶりの更新なので、赤字が多い今日この頃。


読破本
==== ミステリー ====
= エラリー クイーン =

ローマ帽子の謎
フランス白粉の謎
オランダ靴の謎
ギリシア棺の謎
エジプト十字架の謎
アメリカ銃の謎
シャム双子の謎
チャイナ橙の謎
ニッポン樫鳥の謎
= ジョン ディクスン カー =

火刑法廷
= S.S ヴァン ダイン =

ベンスン殺人事件
= アガサ クリスティ =

そして誰もいなくなった
他、いくつか
= 有栖川有栖 =

月光ゲーム Yの悲劇'88
孤島パズル
双頭の悪魔
女王国の城
46番目の密室
ダリの繭
海のある奈良に死す
朱色の研究
乱鴉の島
スウェーデン館の謎
ロシア紅茶の謎
ブラジル蝶の謎
英国庭園の謎
ペルシャ猫の謎
= 鮎川哲也 =

人それを情死と呼ぶ
= 島田宗司 =

占星術殺人事件
斜め屋敷の犯罪
寝台特急「はやぶさ」1/60秒の壁
出雲伝説7/8の殺人
北の夕鶴2/3の殺人
= 綾辻行人 =

十角館の殺人
殺人方程式
= 二階堂黎人 =

地獄の奇術師
= 法月綸太郎 =

密閉教室
雪密室
生首に聞いてみろ
= 岡嶋二人 =

明日天気にしておくれ
開けっぱなしの密室
3度目ならばABC
チョコレートゲーム
殺人!ザ・東京ドーム
コンピューターの熱い罠
そして扉が閉ざされた
99%の誘拐
クラインの壷
= 東野圭吾 =

放課後
卒業―雪月花殺人ゲーム
白馬山荘殺人事件
悪意
どちらかが彼女を殺した
私が彼を殺した
= 宮部みゆき =

我らが隣人の犯罪
パーフェクト・ブルー
レベル7
かまいたち
龍は眠る
火車
心とろかすような マサの事件簿
スナーク狩り
魔術はささやく ?
長い長い殺人 ?
蒲生邸事件
= 森博嗣 =

すべてがFになる
冷たい密室と博士たち
笑わない数学者
詩的私的ジャック
封印再度
幻惑の死と使途
夏のレプリカ
今はもうない
数奇にして模型
有限と微小のパン
まどろみ消去
φは壊れたね
= 殊能将之 =

ハサミ男
= 矢野龍王 =

極限推理コロシアム
= 西澤保彦 =

7回死んだ男
= 佐野洋 =

推理日記Y



==== SF ====
= ジュール ヴェルヌ =

海底二万マイル
= レイ ブラッドベリ =

黒いカーニバル
= マイケル クライトン =

スフィア -球体- ?
= 瀬名秀明 =

パラサイト・イヴ


==== ファンタジー ====
= J・R・R・トールキン =

指輪物語 旅の仲間
指輪物語 二つの塔
指輪物語 王の帰還
= A デュマ =

三銃士
= オークシィ =

紅はこべ
= ジュール ヴェルヌ =

アドリア海の復習
= モーリス ルブラン =

ルパン本、すべて
= 久美沙織 =

ドラゴンクエスト 精霊ルビス伝説
ドラゴンクエストIV 導かれし者たち
ドラゴンクエストV 天空の花嫁
= 宮崎駿 =

天空の城ラピュタ
= 荻原 規子 =

空色勾玉
白鳥異伝
薄紅天女

==== 文学 ====
= 小川洋子 =

博士の愛した数式
= 大崎善生 =

将棋の子
聖の青春
= 綿矢りさ =

蹴りたい背中
= 片山恭一 =

世界の中心で、愛をさけぶ

==== 児童文学 ====
= ミヒャエル エンデ =

モモ
はてしない物語
= 宮沢賢治 =

注文の多い料理店
銀河鉄道の夜
セロ弾きのゴーシュ

==== ライトノベル ====
= 宗田理 =

ぼくらの7日間戦争
= 藤本ひとみ =


= 赤川次郎 =

まっしろな窓

==== 歴史 ====
= 司馬遼太郎 =

竜馬がゆく
項羽と劉邦
関ヶ原
夏草の賦
他色々…
= 吉川英治 =

三国志
水滸伝

==== 物理読み物 ====
= レナード ムロディナウ =

ファインマンさん最後の授業
= 朝永振一郎 =

量子力学的世界像

==== ビューティー本(か?) ====
= 山本浩未 =

「美しい素肌」をつくる24時間
= 小林悟 =

美人塾
= 藤原紀香 =

藤原主義
= 中谷彰宏 =

生き方のモデルになろう
朝に生まれ変わる50の方法
君のしぐさに恋をした
= 浅野裕子 =

1日30秒エレガンス
= 中嶋マコト =

モデルの知恵袋
= 山崎千里 =

美肌
==== その他 ====
= 久美沙織 =

新人賞の獲り方おしえます









= 積ん読本 =

スペイン岬の謎 ( クイーン )
中途の家
悪魔の報復
ハートの4
ドラゴンの歯
災厄の町
クイーンのフルハウス
名探偵の掟 (東野圭吾)
ドグラ・マグラ ( 夢野久作 )
ツァラトゥストラの翼( 岡嶋二人 )
七日間の身代金( " )
殺人者志願( " )
クリスマス・イヴ( " )
おかしな二人( 井上夢人 )
煙の殺意( 泡坂妻夫 )
カナリヤ殺人事件(ヴァン ダイン)
グリーン家殺人事件( " )
僧正殺人事件( " )
文学賞メッタ斬り
ドラゴンクエストVI 幻の大地
13歳のハローワーク(村上龍)
インストール
システム管理者の眠れない夜(柳原秀基)
ビルゲイツの面接試験(ウィリアム パウンドストーン)
金持ち父さん貧乏父さん(ロバート キヨサキ)
父の詫び状(向田邦子)
カッコイイ女の条件( 中谷彰宏 )
美しさの秘訣1,2( ダイアン アイアンズ )
= 読みたい本 =

人間椅子( 江戸川乱歩 )
まだら紐( アーサー・コナン・ドイル )
点と線 ( 松本清張 )





灰皿、浅漬け、天気予報

 あるところに忠乃介という男がおりました。
五月の良く晴れた日に風呂敷包みを腰に携え、西へ西へと向かっておりました。
忠乃介がある橋の袂まで来たときのこと、
渡ろうとする折に声を掛ける男がおりました。
「もし、そこの学生さん。」
見ると、そこにはみすぼらしい格好をした男が眼鏡を片手にちょこんと座っております。
「占っていきゃせんか」
「すみません」
忠乃介は急いでおりました。明日故郷では姉の結納が行われるのです。
「また今度に…」
「ちょっと待ちなはれ」
「何ですか。こっちは急ぎの用があるんです」
通り過ぎようとして、その小さな男の肩ににぶつかりました。
「いたい、いたい、乱暴はいけませわ学生さん」
「そっちが勝手にぶつかって来たのでしょう」
小さい男は忠乃介の前にでんと立ちました。
「悪いことは言いません、わたしに占ってもらいなさい」
「図々しいこと言うなぁ、
 どうして僕が易者さんに占ってもらう必要があるんですか。急いでるんです」
すると男は急にしおらしくなりました。
「すみません学生さん、本当のことを言うと、あんたを占わしてほしいんですわ」
「初めからそう言えばいいのに…でもね、僕は今から用があって急いでるんです。
 人なら他にも沢山いるじゃないですか。じゃ」
通り過ぎようとしたら、男は今度は忠乃介の前に座り込むではありませんか。
「占わせていただけるまでここは退きません。そんな顔しないで下さいよ。
 ええ、ええ、よぉ判っとります。お急ぎのところ本当に申し訳ない。
 でも、わたしには易者としてあんたをこのまま見過ごすわけにはいきません。
 なんでかって、そりゃあんた、そんじょそこらにはおらへんお方やで、いや、
 わたしには判るんです。あ、いったらあかん、いったらあかん。
 もうちょっと聞いて下さい、ここからが大事どす。おどろいたらあきませんで。
 なんで大勢人のおる中、あんたを選んだのか。気になりますやろ。
 なんと、わたしが一見したところあんたの顔には日輪の兆しが見えとります。
 大日如来さまの後光が差しとるんですわ。
 こんなお方をなんで見過ごすことができますか」
ここまで言われると、忠乃介もちょっと話を聞いてみようかという気になってきました。
「ふうん、僕にそんなめでたい兆しが見えるのですか。
 ……明日、姉さんの結納なんです…ちょっと見てもらおかな…。」
「ありがとうございます。ありがとうございます。ほな」
「なんですか、その手は…」
「見料」
「ええっ易者さん、お金取るのですか」
「そりゃわたしも商売でやってますから」
「僕に”頼むから占わせてくれ”と言ったじゃないですか」
「まあ、そうですけど、それはそれ、これはこれ」
これにはちょっと困りました。
なんせ忠乃介は仕出屋で住み込みをしながら故郷に仕送りをする予科学生だったからです。
今も金目の物といえば汽車に乗るための切符しか持っていませんでした。
「易者さん、良いこと言ってくれるのはうれしいけど、僕は貧乏苦学生。
 今も着替えと、帰るための切符と、故郷への手土産しか持ってない。
 しかも土産もおかみさんが持たせてくれたもので…」
「かまいません、かまいません。ええもん持ってはりますやん」
「切符はだめですよ。帰れなくなる」
「ちゃいます。その、手土産」
「ええっ」
「いやいや無理なことはいうてません、それはお姉さんに手土産ですか。
 そんなんわたしの占いを手土産に変えたらいいんですわ。
 結納前なんでしょ。ええこと言うてもらいたいでしょ。縁起かつぎのつもりで…
 さ、さ、土産物出しなさい」
「いや、これは…」
それはおかみさんの作ったナスの浅漬けでした。
仕出屋でとても人気のある1品を忠乃介に持たせてくれたのです。
「ほうほう、ナスの浅漬け。ええやありませんのぉ。わたしもナスは好物でしてねぇ」
男はさっと忠乃介の手にしていた土産を見て、自分の麻袋の中へ入れてしまいました。
「ちょ、ちょっと…」
と、言いながらも易者に占ってもらえば、良いことなら万々歳だし、
悪いことなら今のうちから何かと出来ることがあるかもしれない、
と忠乃介は思い直しました。
「ほな、占って差し上げましょ。もっと顔を良く見せなさい。
 …むう…やはり…ええ相を持っておる…むう…うう…」
片手眼鏡を忠乃介に向けて男はしきりにうなっております。
「……どうなのですか、うんうん言ってないで何か教えてくださいよ。
 姉の結納は滞りなく出来そうですか?」
「円満に結納は行われる、とでておる」
「本当ですかぁ、いやー、そりゃあそうでしょう。
 あ、あの、よくある、嫁ぎ先のお母さんがいじめる…なんてことも無いですよね」
「無い」
「縁起の悪いことが結納中に起こるなんてことも」
「全く無い」
「もちろん、天気も晴れますよね」
「晴れと出ておる」
「自分で聞いておいて何ですが、
 最近の易者さんは僕の顔見て天気予報も出来るのですか」
「だまらっしゃい。易というのはその人の運命を覗き見るものじゃ。
 天気くらい当てれないでどうすることか」
「ふうん、そしたら相手の呉服屋の息子もどんなやつか判るのですか」
「そしたらあんたの左手を見せなさい」
顔の次は左手か、とは思いましたが
忠乃介は言われるがまま左手を差し出しました。
「むむむ、見えましたぞ…お姉さんのお相手は大層真面目な働き者のようじゃ。
 きっと末永くお姉さんを大事にするじゃろう。む、子供は十二人と出ておる」
「じゅ、十二人って。僕の左手で姉さんの子供の数まで判るんですか」
「きぃぃ、学生さん見くびってもらっては困りますな。こう見えてもわたしは
 諸国行脚の旅に出で様々な人を占ってきました。
 そんじょそこらの易者と一緒にしんといて下さい」
その後も易者の言葉は全て、忠乃介とその周りを褒め称えるものばかりでした。
忠乃介はすっかり上機嫌になりました。
しかしそんな時、ふとあることを思い出しました。
「そういえば…初めに僕の顔を見て、日輪の兆しがあると言ってましたね」
「そのとおり、日の出の勢いで今にめきめき出世しますわ」
「それ…どこかで聞いたことあるのだけど、あの秀吉が木下籐吉郎だったころに
 そんな逸話があったような…」
「いやいやいやいや、気のせいでございます!現にすばらしい相をお持ちじゃ」
「そうかなぁ。易者さんは人を占ってもうどれくらいになるのかな」
今度は、忠乃介が男のことを知りたくなりました。
「ハイ、もうこの道四十年」
「子供もいるのですか」
「ハイ、二人」
「こんな調子で易者は儲かるのかな」
「ハイ、まあそこそこですわ」
「毎日同じことを言ってるの」
「ハイ、ザラに」